
●「ジェンキンスさん」セルフライナーノーツ
ジェンキンスさんって知ってる? 奥さんの曽我ひとみさんと再会したときのキスシーンがとても有名なあの人。あの光景は子供ながらに、恥ずかしいんだけどすごく幸せに映った。あの光景と「ジェンキンスさん」っていうフレーズ自体がとてもハッピーでキャッチーだなって思ったからこそ作れた曲だと思う。 歌詞的には「友情ソング」なんだけど、ジェンキンスさんを知ってる世代にはその名前だけでラブソングに聞こえるみたい。それくらいあのキスシーンは衝撃的だった。リアル3区なりの「LOVE」ソングなのかも。 ジェンキンスさんって知ってる? 決して風化させてはいけない問題。リアル3区の中で一番はじめにできた曲。 ゆめ ────────── 幼い頃、ニュースにならないニュースがあるなんて知らなかった。制限された情報の中で、北朝鮮の拉致問題がテレビニュースで報道されたとき、私は家で1人で騒いでいた。そしてたくさんの本を買い、北朝鮮について掘っていったけど、そんな私をクラスのみんなは悪趣味だと言った。言うまでもないがこんな問題は早く解決してほしい。しかし無力な自分は北朝鮮の国営放送の真

●「ぽんぽん」セルフライナーノーツ
このコード進行で書きたくてそれに歌メロを乗せて、それから歌詞を考えてみたんだけど戦争の歌になっちゃった。 戦争するより恋したい。そんな想いを込めて作った曲。 ラッキーカラーがベージュじゃモチベーション上がらないよね。 ゆめ ────────── どうやらゆめという女の子は第二次大戦を掘っているようだ。私は社会の時間はどちらかというと話を聞かず、教科書を最後まで速読しては写真だけ見返し、昔の人は変な髪型だなーとか思って笑っていた。 しかしこの曲を作ることになって、私も第二次大戦についてきちんと向き合わなきゃならなくなる。「『彼の海炎上 それ見てエンジョイ』ってラップしてよー!」なんて言われて、不謹慎なやつだなあって思ったけどさ。きちんと勉強して、戦争について考えてきたから言えるんだよね。 私は最初、戦争の歌を歌うのは怖かった。でも変えられない歴史を学び、繰り返さない──そう、要するに戦争反対だから堂々と表現できるんだな、ってだんだんわかってきた。そのおかげで「腎臓肝臓全部どうぞ お命だけはそれはちょっと」なんて言えるようになったんだよ、私も。 ポッ

●「大家さん」セルフライナーノーツ
最初この曲はキーコが全部メインで歌ったほうがいいよって提案したんだよ。だってキーコの猫がいなくなったときの歌だからキーコが誰よりも感情込めて歌えるからって。でも私も歌うことになって、最初は気持ちの持っていきかたが全然つかめなくてすごくモヤモヤしてた。 何度も歌っていくうちに不思議と大家への怒りみたいなのがこみ上げてくるようになるんだよね。「返してくださいお願いだ!」本当に心の底から八つ当たれる。 やりどころのない不満や怒りを覚えたときは「大家さん」を歌うとスッキリするよ。 ゆめ ────────── もう引越しちゃったけど、前の家は下に大家が住んでたんです。条件悪いでしょ。不動産屋さんもさ、「猫飼ってるって言うと敷金高くなるから黙っててください」とか言っちゃうの。正義感は強いほうだけど20万くらい違うってなると「あー、まあ、じゃあバレたら払いますー」とか言いながら実は心を痛めたりしてたの。 ある日猫が家出してさ、もうなんにも手につかないまま3日過ぎて。1階に大家のガレージがあるんだけど、その奥にいる気がしてならないの。だからシャッターの隙間からず

●「GIVE ME CHOCOLATE」セルフライナーノーツ
「ぽんぽん」を作った時期に、やっぱり開戦したら終戦迎えたいなと思った。そして戦後と言ったらギブミーチョコレートだよね!っていうノリでライブで使う用のSEとして作った曲があったんだけど、それすごく気に入ってたの。 たまたま亀ちゃんと2人でスタジオ練習に入ったときに「この曲を歌ものにしたいんだ」って相談したら「ねえ兵隊さん」って亀ちゃんがいきなり歌い出して、それだ!ってなった。そのときの興奮は今でも鮮明に覚えてる。そのスタジオの帰り道自転車漕いでるときにBメロとサビも浮かんじゃって、路肩に自転車とめてボイスメモに録って家着いてすぐにレコーディングした。 「ギギ、ギブミーチョコレート」っていうフィルターボイスはSEとして作ったときのデモの宅録音源をそのまま使ってるから、実はうちのぴーちゃん(愛鳥)の鳴き声も入り込んでるんです。歌ってるとき突然ぴーちゃんの声が聞こえてくるからニヤニヤしちゃう。気付いたかな? 初めてメンバー3人で作った曲。とても思い入れのある曲です。 ゆめ ────────── この曲を聴くとゴールデンウィークを思い出す。ゴールデンウィー

●「カミカゼアタック」セルフライナーノーツ
「これで最後にするから! お願い! 最後にカミカゼアタックだけやらせてくれ!」ってメンバーに懇願して好き勝手作らせてもらった曲。 でも実はこれもメロディ先行で作った曲で、漠然と90年代アニソンを書きたいなと思って書いてた。そしたらサビのラストの部分がどうしても「カミカゼアタック」しかはまらなくって(そんなはずない)。もうカミカゼアタックの曲を書こうと腹をくくった。 戦争大嫌いなんだけど、特に子供が戦争に巻き込まれるのが許せない思いが強くて。世界中の人がガンダムを観たら戦争はなくなると本気で思ってるくらい。過去の戦争でもカミカゼ特攻隊はショッキングなことだったと思う。これも知らない世代が出てくるのかなあとか思ったら、タイトルだけでも後世に残したいなって気持ちはあります。だからこそポップスにしなきゃって。変えることはできないかもしれないけれど忘れないことはできる。 子供が「カミカゼアタック」って歌ってたら大人は「やめなさい」って言うかもしれないけど、「カミカゼアタックって何?」って聞かれたらちゃんと説明してほしい。そのへんの説明責任は丸投げです。よろ

●「住民税が私を殺す」セルフライナーノーツ
保険課と年金課はめっちゃ優しい。無い袖は振れぬ!っていう相談に親身になってのってくれるんだけど、住民税課は待ったなし。他の課のおじいちゃんも「あそこは絶対払わないとダメだよ、あいつらエグいからね!」って言ってた。住民税が私を殺す。 ボーカルレコーディング一発OKが出た唯一の曲。いつか住民税が私を殺さない時代が来るといいな。 ゆめ ────────── デモもレコーディングも全部ワンテイク。曲ができたきっかけはゆめが深夜に「住民税がわたしを殺す」ってツイートしたこと。そのツイートを見た瞬間、自分の中のパンク精神が湧き出てきて完全に衝動で作った。この曲を演ってると、私本当はこうなんだなって思う。たまにキレるときにすごく似てる。ステージでキレるなんてできるかなっていつも思うけどイントロ始まるとスイッチ入る。 デモを作ったときは亀ちゃん加入前だったけど、脳内ではまだ見ぬギタリストが暴れてたのは確か。 キーコ ────────── 私の中のルサンチマンをギターにぶつけたような曲。 ゆめちゃんもキーコちゃんもすごくロックだと思う。見た目のかわいらしさとは別で