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●「ドンキ行くけどなんかいる?」セルフライナーノーツ

「ドンキ行くけどなんかいる?」ドンキ行くとき絶対言うでしょ?

カーテンも冷蔵庫もない部屋、見切り発車で一人暮らし始めたときにまず最初にドンキに買い物に行った。ドンキでだいたいなんでも揃うと思ってたんだと思う。

でもけっきょく買って帰ってきたのはよくわからないキッチン便利グッズとか、それいつ使うの?っていう発光するへんなパーティグッズやでっかいお菓子。さいのはてには、いつかヤンキーの彼氏ができたときにお揃いで着ようと思って買った上下スウェット2サイズ。

埼玉県在住の女友達が泊まりに来たとき「はい、寝巻き!」って真っさらなグレーのスウェットを(買った理由を述べた上で)差し出したときの「ゆめ頭大丈夫か?」って顔は今でも忘れない。

「ドンキ行くけどなんかいる?」って曲を書こうと決めたときから、これはラブソング以外ありえないって思ってた。彼氏と手つないで歩いて、すれ違う女子全員キッと睨みつけるくらい嫉妬深くて愛情深くて世界で一番彼氏が好きっていうキュートなヤンキー女子の切ない恋心をテーマに書いたよ。毎日好きって言ってほしい、不安になんてさせないで。ねえ私のこと好き?

リアル3区初のラブソングです。

ゆめ

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当時私が住んでいたパーティハウスは環七沿いにあった。「地獄シェアハウス」と呼ばれるその部屋は、私や私の友達にとっては天国のような場所で、明け方まで大音量でアコギを掻き鳴らしても、ギンギンに走る地方ナンバーのトラックがその音をかき消してくれる、とてもよい立地だった。そこにいつものように赤いカバーを付けたMacBook(名前はキャンティ)を抱えてゆめが登場。

そのMacBookからゆめが流してくれたデモは、ミニマルなトラックにゆめの低めの声で「ドンキ行くけどなんかいる?」と繰り返すヤバい曲だった。私はその夜、この曲で一番言いたいのは「ねえ私のこと好き?」のとこだよね! 絶対そうでしょ? フー!って1人で正解を見つけた気分で心の中ではしゃいでいた。

ラップ制作は私の担当だけど、ゆめがキーワードをくれてそこから膨らませることが多い。今回はゆめが足立区辺りのヤンキー風の女友達からもキーワードをいくつかもらって来てくれたよ。「ホンキートンキークレイジードンキーってなんですか?」てたまに聞かれるけど、強くなれる呪文みたいな気がしてきたんだ。感情パーン! 大丈夫だよ!て感じ。

私はいつも朝になってみんなが帰っちゃうのが、パーティが終わっちゃうのが寂しかった。そういえば渋谷でオールしたときの朝の始発バイバイも寂しくて、私は駅には行かず井の頭通りを逆流する方向に1人歩き出し振り返り「今日も楽しかったよー!」とテンプレのようにでかい声で叫んで、誰になんと言われようとタクシーで帰ったもんです(笑)。

門限が無駄に厳しく(高3まで18時な!)ずっとずっと自由が欲しかった私にとって、夜明けなんて全然眠くなくてワクワクして、でもなんか心臓をキュッてされてる感じでしゃべるのを止めたら泣いてしまいそうなくらい、好きなんだ。夜明け。

「朝日がまぶしいけど幸せ 不安も不満もさあ掻き消せ 終わらない夢を見よう 2人で」

その頃の私にとってドンキはいつも煌々としていて、陳列もBGMも雑に明るくて、それがなんだか切なくて。夜明けという自由は未来の不安を吹き飛ばしてくれるし、いつも私をいい気分にしてくれるんだ。

キーコ

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私この曲は最初にできたときはもっと違うアレンジでした。それを何度も何度もみんなで話し合いながら、生まれ変わって、最高のアレンジになりました。Bメロのギターのコードなど、今まで弾いてこなかったようなギターを弾き、とても苦戦した思い出があります。今のアレンジ、ギターのコード進行が一番お気に入りです。

ラップパートに関しては、私は地声が低いのですが、その低さを活かせてもらえるようなキーで歌えてとてもよかった!

歌詞に関しては、本当に身内褒めがクソダサいけれど、「これが最後と言って」「不安も不満もさあ掻き消せ」「終わらない夢を見よう2人で」という歌詞が、まるで映画を観ているかのように情景が思い浮かび、あたかもヤンキーカップルになったかのように感情移入してしまい、何度も何度も泣けてしまいます。

聴けば聴くほど大好きになる、思いが詰まった曲です。

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